統合失調症は治る病気です
- 序文にかえて -
「知らない天井」
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「どれだけ強く蹴り飛ばしても割れないガラス」
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「ガラスの下の隙間から定期的に差し出される食事」
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「中からは絶対開かないドア」
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「布団とトイレしかない息苦しい密室」
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薬の影響か、鈍器で頭を殴られたような重さのある混乱した頭で、そこがいわゆる精神病院だと気付くまでに3週間ほどの時間を必要とした。
診断された病名は「統合失調症」。英語名はスキゾフレニア(schizophrenia)その当時は精神分裂病と呼ばれていた。
その狂気的な甘美さすら感じさせる名からは想像できないほど、その中に存在することは、苦しい。
初回の入院から退院するとき「キミは一生この中から出られないと思っていた。」と穏やかと真摯さが同居した眼をしたベテラン看護師から言われた。
「何か大きな力に守られているのかもね」と。
22歳の時に発病し、15年の歳月を経て、ようやく過去を冷静に振り返る余裕が生まれてきた。
その間、3年の修行で僧侶の資格を取り、主にアーティストのアシスタントとして北京に3年、ウィーンに1年、海外生活も経験した。
その時点で寛解しているのではないかと疑問を持つ人もいるだろうが、自分からしてみれば寛解からは程遠い毎日が紙一重の精一杯の綱渡りだった。
統合失調症は一生治らないと思っている人たちも、統合失調症への痛すぎる偏見を持っている人もまだまだ多いだろう。
寛解した人もその過去は隠したがる傾向にある。そのためか、統合失調症から寛解した人が書いた、統合失調症に関する本やホームページはまだまだ少ない。
このサイトを通じて、同じ症状で絶望の淵で苦しんでいる人たち、またその家族や親友たち。暗闇より深い闇の中から一条の光を見いだす人が1人でもいるとしたら、自分の経験を文章に残し、それを共有するということは意義のあることではないだろうか。
統合失調症は治る病気です。
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それが治ると知っていれば!